そもそも君らの言う公共圏って何よ?


2010年6月24日

彼らの言う「公共圏」について

すっかりはてサバズワードと化している「公共圏」ですが。

そもそも元々の話はどうだったかというと、地下猫氏が語るところの「公共圏」が、人権侵害ではない性差別的表現を法によらない方法で掣肘する機関であるように見えるので(そういう意図では必ずしもないのかもしれないが、彼の語調が激しく抑制が効いていないこと、また、「目的はリンチにはないが結果的にはそうなるかもしれない」というhit-and-run氏のような論法を使われる恐れも考えると)、それは自警主義に繋がる危険な考え方だろう、と否定しているのだ。
この文脈を無視して、ちゃんとした定義を誰もしていないのをいいことに野放図に対象を拡大するのはただのインチキだろう。

そもそも、俺とhit-and-run氏が個人の倫理観を戦わせて議論する上で、どうして「公共圏」のような曖昧な中間集団(というか機構?)を想定する必要があるのか。

そりゃあ俺と彼の議論を見ながら他の人が横から色々言うだろうが(はてブはそういうシステムだ)、それだって彼らは個々の個人なのであって、「公共圏」なる団体の会員ではないし、彼らが勝ち負けを裁定するわけでもないし、したとしてそんなものに正当性はない(多数決ででも決めるのか?)。
個人と個人が議論して、その個人間で物事を決めるのに、国家も公共圏も必要ないだろう。
彼らの言うところの公共圏は、あらゆる個人同士の対話を監視しているのか? ビッグブラザーは見ている! そりゃ、そんなもんいらんわ。
それはリバタリアニズムの理想の対極にあるものだろう。少なくとも、俺の支持するタイプのリバタリアニズムとは相容れない。


ここでフランツ・ファノンについて書かれているのは、つまり、(時に抑圧的な)公共文化空間を「公共圏」と呼ぶということかな?
ちゃんとその辺勉強したわけじゃないから誤解があるかもしれないのだが、そりゃあヘンタイには優しくないよな。とても肯定的にはなれない。
俺とhit-and-run氏が倫理を戦わせるのに、そんなものを介在させる必要はないだろう。単に俺と彼の問題だ。倫理観はあくまで個人のものだ。

hit-and-run氏の議論の仕方について

俺は最初から明示的に「道義的責任」を問うていたはずだ。彼が彼自身の倫理観においてどう考え、こちらの要求にどう答えるかを聞きたかったのだ。
不思議なことに、彼は彼自身の倫理観に照らしてどうなのかということについては回答せず、俺の倫理観と俺の要求の矛盾を探すことに必死になってるようだ。
言ったこともないようなことをこちらの主張と決めつける藁人形論法には反論せざるを得ないが、そもそもそれ以前に、それは本題から話をそらしているだけなのだと先にまとめて指摘しておく。
貴方自身の倫理観に照らして貴方のその行動はどうなのか、と問うているのだが?
なんでこんな当たり前のことを示唆しなきゃならんのか分からんが、あえていうと、ぶっちゃけ俺の要求を突っぱねたいなら突っぱねればいいのだ。
相手の合意に基づかず私的な要求を強制するようなことを俺はしない。強制していいのは法だけだ。俺はリバタリアンだからね。
ただ、突っぱねるのならその突っぱね方を見せてもらいたかったわけで、実際見せてもらっているのだが、実に変な方向にゴネるものだなあと。
こちらの倫理観との違いを示し道義的責任自体を認めないとか、あるいは、単に完全ガン無視とか、いろいろ方法はあっただろうに、なんで自分のことは棚上げで(脳内で仕立てた)相手の主張の矛盾探しにばかり夢中になっているのだろう。はてなディベートに慣れすぎて、実際的な意味と関係ないところで反論を構築するようになってしまったんじゃないか。

hit-and-run氏断筆宣言? について

さて、個別の議論をまとめる前に、hit-and-run氏が断筆がどうとか言ってる件について。
断筆断筆と騒いでるようだが、そもそも断筆する理由がどこにあるのかさっぱり分からない。俺は要求していないし、断筆したところでなんの解決にもならないだろうに。いや断筆したいんならそりゃ誰も止めようとは思わんけど。
これでは例えばhit-and-run氏がどこかでスピード違反した責任まで押しつけられかねないわけで、無茶苦茶だ。
むしゃくしゃしてやった、全部高橋のせいだって? 知らんがな。
出版社に「押しかけ」内容に抗議することで「結果」出版停止する、特に悪い状況を想定するなら、「出版停止せざるをえない状況に追い込む」のと、単に相手が自分の意思で断筆するのとは違うだろう。
筒井康隆が断筆を決めたのは彼がそう決めた結果、彼自身の意思であって、そこに至った経緯に考えるべきところがあるとしても、断筆の責を法的に誰かに問うのは無理だろう。営業妨害とか建造物侵入とか脅迫恫喝とかの結果もたらされたものではないだろうからだ。
君にうんざりしてはてなダイアリーをやめた俺だが、それを人権侵害だとか脅迫だとか言う気はないし、実際言わなかったし、別にその責任を君に求めなかっただろう? 当たり前だそんなこと。

そもそも今回の件がなければ、君のことなんてそのままほうっておけばすむ話だったんだがね。
罵倒が仕事に関わってくると、これは捨て置けない。こちらの職業能力を根拠無く低く評価するようなことを公然と書かれてはね。さすがに抗議のひとつもするだろうよ。その調子で粘着されそうな予感もあったしね。


個別のツリーのまとめ


hit-and-run:
これで、私がはてブやハイクでの言論を止めたら高橋さんは「生じた結果」に対し、責任をとってくれるのかな?だとしたらそれはどんなものだろう?
「手紙」と大差ないにテキストによる批判だから問題ないって?あんな脅迫状みたいな内容でも?(笑)
裁判に訴えなくても、脅迫は脅迫なんだよね?裁判所が判断するまでは脅迫だと認定されないっていうのなら、それはヤクザまがい、レイパーの論理になるはずだから。
さて、俺が「断筆」したら高橋さんはどう責任とってくれるんだろうか?

NaokiTakahashi:
なんというブーメラン/直接具体的に受けた侮辱に対して本人が抗議し謝罪を要求することが「脅迫」か。風評被害の議論の際のユルさはどこへ行ったのか。

hit-and-run:
試みにあなたの理屈に従ってみただけ。なのにどこに不満が?それが聞きたい。

NaokiTakahashi:
誰も言ってないことを勝手に相手の意見と決めつけて叩くのを藁人形論法といいます。 人権侵害が問題なのは言うまでもないことだろ。俺は君のところに「押しかけて」などいないし、断筆の要求もしてないぞ

hit-and-run:
俺を「脅迫」したのは人権侵害じゃねーの?断筆の要求をしてなくても「生じた結果」には責任とるべきって言ったのはあなたでしょうが。

NaokiTakahashi:
俺が君をいつ脅迫した? 読み返してみ。訴訟の意思があるようなことは一切書いてないし(実際ないし)、求めているのは道義的責任だ。無視したければすれば。君がそう言う人だということが分かるだけ

hit-and-run:
「人権侵害なら具体的な罪に問え」といったのはid:NaokiTakahashiさんでしょう。そして罪を認定するのは裁判所。公正な裁判抜きで人に罪を着せるのはそれこそ人権侵害。世界人権宣言読むべし。

(※引用者注:「人権侵害なら具体的な罪に問え」の議論はこの下にまとめてある別のグループでやります)

NaokiTakahashi:
あー、つまり、hit-and-run氏的には、今起きてる写真集/動画騒動の制作者達を人々が肖像権やら名誉権やらの問題で批判してはいけないってことかな? 返答求むw


hit-and-run:
公共性を想定せずにどちらの言い分が正しいかどうやって決めるつもりなんですかね?「神のお告げ」かな?
裁判所に決めてもらうっていうならまだ一貫してたのに、今は正当な裁判抜きで私を名誉毀損の加害者として罪に定めようとしている。

(※引用者注:引用していて気付いたが、ここだけ公共圏が公共性にすり替わってるね。これは別の概念だ。俺は俺の信じる公共倫理と彼の信じる公共倫理を戦わせようと言っているのだから、そりゃ公共性を想定するのは当たり前だ)

NaokiTakahashi:
俺がいつ君を訴える意思があると書いた? ソースを出せ。 はあ、またまとめなきゃいかんのか。 仮に法に訴えるとしたらそれは法廷の問題だし、俺と君が話し合うなら個人の倫理観の対決で、公共圏の出番はない。

hit-and-run:
「人権侵害なら罪に問うべき」、「裁判所が判決を下さなくても人権侵害は人権侵害」この二つが矛盾せず公共圏も設定しないなら、リンチや自警主義を容認してるとしか考えられない。

NaokiTakahashi:
文脈ぶちぎって一部だけ抜かれてもな。ソースをしめせと言われたら典拠くらいは書こうよ。まず後者については、まあそのままの意味だろう。(メタブに続く)

(※引用者注:典拠が示されていないので、想像でそんな感じのことを言ったケースを思い出している。面倒な話である)

NaokiTakahashi:
「人権侵害なら罪に問うべき」は地下猫氏との議論?それは「法で裁かれない人権侵害」を許容するな、人権侵害への対処は公権力の領分だという文脈だろ? 私人に義務を課したり私刑を肯定するのとは真逆(まだ続く)

NaokiTakahashi:
あと、何かものすごく危険な勘違いしてるみたいだから指摘するけど、公共圏を設定したらリンチや自警主義じゃなくなるわけじゃないぞ? 組織的で権力的な、より危険なリンチ、自警主義になるだけだ(まだ続く)



僕はヘンタイの一人として、この人達が作ろうとしている公共圏が怖くてなりません。