批評と侮辱の違い、hit-and-run氏への批判・質問


2010年6月23日
どんなに手ひどくこき下ろすものであれ、筋の通らないものであれ、作品の内容を参照して具体的に批判しているものは、それは批評なのだ。いやこう言ったら批評で飯食ってる人は怒るかな? まあ少なくとも感想ではあるのだ。例えば俺はかんなぎ騒動における処女厨のありかたを、好き嫌いは置いといて、違法行為にならない範囲では徹底的に擁護していたのを覚えている人もいると思う。
批評の際に作者に批判(あるいは賞賛)の矛先が向くことも、少なくともそれが「作品の作り手としての作者」を参照している限りにおいては批評・感想であり、引き受けるべきだろう(明らかに創作と関係ないプライバシーを叩くのは批評とは言えないかもしれないが)。
彼らは、少なくとも作品内容をきちんと参照して、どこがどう気に入らないかをしっかり書いている。中には、なぜ処女じゃないとダメなのかを論じている人もいる。正しいかどうかは別として、俺はこれらを批評――といっても、ベタに規範批評なんでレベルは低いが――として認める。「まおゆう」批判だって、そのほとんどはただの規範批評だったが、作品や、作品の作り手としての作者に向いている限りはまあ、程度の低い批評ってことで済む。

俺の作品がどんなふうに酷評されようがそれはプロの作家として受け入れるし、作者が自分で反論するとかっこわるいので、時には明らかに字義レベルで(例えばキャラの名前とか生き死にレベルで)読解を間違っていてさえ、それはそういうもんだとして受け入れる。だが批評でない罵倒となると話が別だ。作品を直接参照もしないものは、ただの侮辱でしかない。
いくら名前を公表して作品を発表しているプロの作家だからって、創作活動と関係のないただの侮辱に甘んじる筋合いはないぞ。

俺がなぜ「はてなダイアリー」をやめたのか。hit-and-run氏の「戦術として選択された荒らし」にうんざりしたからだ。
一番ひどかった例がこれね。で、それを受けてこれね。
6月一杯はダイアリーは開いてるから読めば分かるが、彼は自分の発言がどのように批判されようがまったく気にしていない。批判によって対象を論理的に追い詰めることを目的としているのではなく、批判にかこつけて「コメントし続ける」ことを目的としているんじゃないのか。精神的な疲弊や論理的なミスの誘発を狙ってるだけなんじゃないか。そりゃまあピンポンダッシュもある意味hit-and-runだが。
ブログ大戦略のマップ上から俺を消したいだけで、反論された内容について考える気はまったくないんじゃないのか。それはまさしく「hit-and-run」戦法で、自覚的にこんなこと仕掛けて恥じもしない奴を相手にしてられるか、と。
うちのブログは何度も炎上したことがある。俺は律儀に付き合う方なので、コメント欄がすごい長さで伸びていた。でも、彼らは少なくとも個々の話題に対しては本気だった。本気だから炎上したのだし、こちらも本気で付き合ったのだ。彼らのほうがはるかにマシだと俺は思う。話題自体を真面目に考えるつもりが無くて、ただ逐語的にコメントし続ける、ぼや騒ぎを起こし続けること自体を目的とされては、とてもやってられない。

さて、そのhit-and-run氏の最近の発言がこれである。

「不道徳なものから生じるおかしみを追求することで、何らかの表現ができると思った」能書き垂れてるだけで何もせず、すねてばかりのid:NaokiTakahashiよりは芸術的。
id:NaokiTakahashi、シナリオに命かけてあの程度だったんか。才能って大事なんだな。

「あの程度」が「どの作品」の「どの程度」なのか、俺の才能のなさをどのように批評するのか、見せてもらおうじゃないか。
どれか一つでいいよ。俺の作品をきちんと批評してみろ。

別に、プロの批評のレベルでやれとは言わないけど、そんだけでかい口叩けるんだという君の知性のほどを見せてくれよ、作品内容を参照した上できちんと批評してみろよ。
「対抗言論」にしろ「批評」にしろ、書いた人の品性や思考の程が、批判・批評対象がそれによって問われるのと同程度には問われる。
俺はその批評については何もコメントはしないけど(自作の批評に反論するのはかっこわるすぎるし)、その批評を読んだ人に君の思考の質が問われることにはなるだろうね。
どうせ具体的にどの作品なんて考えずに書いてたんだろうから、そこまでは大目に見る。これからやってくれりゃいいからwプレイ時間も普通には取ってくれ。

ここで作品紹介してるから。

俺の実力を測ろうというのだから、それなりの自信作・評価の高い作品を選んで、どう「あの程度」か批評して欲しいのだが、入手が簡単かどうかという問題もあるので、紹介文を読んでチョイスはお任せする(あるいは巷のレビューを読んで好みのものを選んでもいいかもね)。
ぶっちゃけ、どう酷評されようが別に困らないのだ。世の中に酷評レビューなんかいくらでもある。むしろ、考察系のレビューとか思想やら倫理やら社会・政治やらの方面のレビューが入るんだとしたら、あんまりそういうの俺の作品にはないので、読むのが楽しみなくらいだよ。もしかしたら今後の作家活動の糧になるようなアイデアや指針が得られるかもしれないしねw
まあ、どう転んでも俺の得にしかならない話だけど、自分のケツを拭くと思って、やってもらおう。

もう一度言うが、いくら名前を公表して作品を発表しているプロの作家だからって、作品と関係のないただの侮辱に甘んじる筋合いはないぞ。
作品を直接参照もしないものは、ただの侮辱でしかない。
ブロガーとしての口喧嘩ならともかく、俺の作品に言及したからには、その辺しっかり道義的な責任は取ってもらいたいんだがね。
君の脳内大戦略の盤面から高橋直樹という駒を消すために、無意味な言葉の爆弾を投下し続けているだけなのか、それとも、実在対象に向かい合う気があるのか、どっちだね?

自分だけが殴り、相手からは殴られない、一撃離脱(hit-and-run)戦法は極めて合理的に敵を殲滅する近代の発想だが、たまには真っ正面から殴られてみろよ。
(余談。「不道徳なものから生じるおかしみを〜」程度の陳腐な哲学はただの踏み台だと、俺はブログでだって何度となく論じてたんだがなあ。現代のポルノ屋はその先を見なきゃダメだし、その程度の実践はエロゲ屋だってあちこちでやっているぞ。せめてアンモラルとインモラルの議論くらいには到達してもらわんことには)

(加筆)
2010/06/24
この件についてのhit-and-run氏の反応とそこへの返答をこちらにまとめてあります。